(どこまで気軽に来てくれるかなぁ…)
いちばんの懸念は、そこだった。
Twitterで時折目にしていた、掛かり手希望予備軍の方たちの声。
「催眠に興味はあるけど、体験する機会とか、術師さんにお願いする勇気がなくて」
それが頭のどこかにあったのだろうと思う。ある日ふと、頭にこんなことが浮かんだ。
(だったら、催眠術師たちがまったりお茶を飲んでいて、そこに行けば誰でも気軽に催眠の話ができたり、掛けてもらえたりできる場を作ればいいんじゃないか?)
一度も行ったことはないけれど、Twitterを見ていると、いろんな催眠の会の告知を目にする。それは勉強会だったりエンタメ系の会だったりと、行ったことのない身からするとちょっと敷居が高そうな印象がある。自分が行ってもいいのかな、と。
そうではなくて、もっと気軽な、ふらっと立ち寄れる街角のカフェのような催眠の場があってもいいんじゃないか。
そう思ったその日のうちに、僕はcanvaでフライヤーを作り始めていた。
タイトルは「気軽に対面催眠が楽しめるカフェ」。
やってみて、うまくいくかコケるかは、全然わからない。
いまいろんな会を主催しているのは、この界隈で有名な大御所の方たち。一方僕は全くの無名。まったく人が集まらないかもしれない。でも、やろうと思った。
準備を進めるうえで、ひとつ気になることが出てきた。会場の問題だ。
気軽に来れるカフェというからには、街の一角にあって、(その時間内だけでも)常にオープンで、文字通りふらっと入れる場所がいい。
しかし、例えばそういったカフェの一角を借りるにしても、まったく当てがなかった。
馴染みの掛かり手さんからは「一日店長なんていいんじゃないの」と言われたけれど、そんなことができる店があるんだろうか。
とにかく早く場所を押さえないと、開催そのものができなくなってしまう。
曜日(週末)と利便性(来やすい場所)を優先した結果、日曜日午後の、新宿駅近くのレンタルルームを押さえた。
売り文句は「駅から徒歩1分」。実際は高島屋から歩いて、迷って、10分くらい掛かってやっといたのだけれど(笑)。
会場については、最後まで不安だった。
実は以前も催眠のオフ会を開いたことがあって、そのときもレンタルルームを利用したのだが、参加者の人には概して不評だった。
ひとつには、場所が分かりにくい。大抵は都会の住宅地にあるマンションの一角にあるので、ナビに頼っても迷うことが多いのだ。
そして、空間が閉鎖的。はじめましての人と初めて来る密室で外界から遮断されるわけだから、ちょっと抵抗があって当然だ。
それを導入するとなると、「気軽にふらりと来れる催眠カフェ」というコンセプトには若干そぐわないところが出てくる。
ましてやああいったレンタルルームの提供者は「詳細な場所は参加者以外には絶対に公表しないでください」と、前もって釘を刺してくる。おのずとこちらも番地まではオープンにして「ご参加の方には詳しい場所をお教えします」と告知せざるを得ない。ハードルがさらに上がってしまう。
それでも、来る人はきっと来てくれるだろう。そう信じることにした。
あとは広報だ。
Twitterで毎日告知した。作ったフライヤーの画像を載せて、案内文もちょっとずつ変えて。一か月以上続けた。
応援してくれる人もいた。以前からずっと仲良くしてくれる人、TLでよく絡んでくれる人、以前一緒に催眠体験をしてくれた人などが、毎日Twitterで積極的にRTしてくれた。本当に感謝だ。
それでも、開催日近くになってもなかなか人が集まらない。馴染みの掛かり手さんが「私は行きます」と言ってくれたけど、本当に直前になるまで僕たち二人しか参加予定者はいなかった。
焦っても仕方がない。いざとなれば、がらんとした部屋で二人で話せばいいだけだ。
でも、ちゃんと救いの神はいる。
相互FFだけどあまり絡んだことのない術師さんから「空いてますか?」と連絡が入った。さらに、以前対面催眠を受けてくれた掛かり手さんから「日程が調整できました」とDMが来た。涙が出るほどうれしかった。
というわけで2025年1月19日、日曜日午後三時、「気軽に対面催眠が楽しめるカフェ」の第一回目が開催された。
詳しいことは次回に譲るけど…めっちゃ楽しかった。
書きたいことはたくさんあるので、お楽しみに。
(続く)