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体験談240909「ちょっと待って!」

体験談240909「ちょっと待って!」

対面催眠を掛けてきました。
掛かり手さんは馴染みで気心の知れた方。「今日の希望はありますか?」と訊くと「特にない」とのことだったので、把握している彼女の好みに合わせました。寿司屋のお任せみたいなものですかね(笑)。
僕の癒しの催眠の秘密を少しバラすと、掛かり手さんがおリラックスできる風景、ご自分の好きな場所を最初に訊いておき、そこを舞台に展開します。
彼女が好きなのは白いビーチの海なので、今回のテーマは「夏の終わりの海」にしました。
真夏とは違う、少し色褪せた陽光を浴び涼しげな風を受けながら、心の中にいま抱え込んでいる汚いものや黒いものを、デトックスするように吐き出してもらいます。
それほどストレスは溜まってはいないと聞いていたので、今日はこれくらいでいいか、と設定したキャパがいっぱいになる頃に引き上げようとしました。
そのとき──。
横たわって目を閉じている彼女の体が手が、宙空に向かって差し出されたのです。そして肉声。
「ちょっと待って!」
え、やり方を間違えたのかなと思いました。セラピーの最中にこんな反応があったのは初めてだったのです。
取り敢えず落ち着かせ、戻しても良い状態にしてから催眠を解きました。ちゃんと戻ってきてくれてホッとしました。
後で改めて、あのときはどうしたんですかと訊いたところ、
「まだ(黒くて汚いものを)出したかったから、終わろうとするのを呼び止めた」のだそうです。
「え、でも今日はそれほど溜まっていないって言ってましたよね?」
「そのつもりだったんだけど、自分でも知らないうちに溜め込んでたみたいで」
…本人の自覚なしに溜まっていくストレスって怖いな。改めてそう思った一幕でした。
皆さまも、くれぐれもストレスは溜め込みませぬように。
(2024.9.9)
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